
冬の終わりのその朝、1人の少年が死んだ。
トーマ・ヴェルナー。
そして、ユーリに残された1通の手紙。
「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」。
信仰の暗い淵でもがくユーリ、父とユーリへの想いを秘めるオスカー、トーマに生き写しの転入生エーリク……。
透明な季節を過ごすギムナジウムの少年たちに投げかけられた愛と試練と恩籠。
今もなお光彩を放ち続ける萩尾望都初期の大傑作。
萩尾望都
冬の終わりのその朝、1人の少年が死んだ。
トーマ・ヴェルナー。
そして、ユーリに残された1通の手紙。
「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」。
信仰の暗い淵でもがくユーリ、父とユーリへの想いを秘めるオスカー、トーマに生き写しの転入生エーリク……。
透明な季節を過ごすギムナジウムの少年たちに投げかけられた愛と試練と恩籠。
今もなお光彩を放ち続ける萩尾望都初期の大傑作。
コメント
エンターテイナーな娯楽は無いけど、文学的で読み応えがあて良かった。
感想を言い合って解釈を語り合う楽しさもあって、読み終えた後すぐには萩尾ワールドから抜け出せない。
気に入ったので、訪問者も読みたい。
ユーリが背信的な過ちに苦悩し、彼を取り巻く恋がさらに心境を複雑にする。
ここで特に惹かれたのが作中の「愛情」はあまりいいものだと思えないことだ。
だれかを縛ったり苦しめたりする「愛の様相」が見応えあった。
日本との文化的差異が大きいから前提を間違えるとBL的な要素しか見えてこない気がした。
最近、長山靖生著「萩尾がいる」を読んだので、図書館で借りて何十年ぶりかで再読してみた。
自分も歳をとり、それなりの人生経験を重ねてきた。
そこでこの作品を読み返すと、いろいろな解釈ができるのことに気付いた。
単なるBLの本ではないと感じる。
これを小説で描いていたら、きっと芥川賞をとっていたかもしれない。
他の人が書いたものがありますけど(未読です)。
あと、歳のせいで文庫版コミックは絵も文字も小さく、読み続けるのが辛くなってきた。
タイトルだけ知っていたもののずっと未読だった作品。
ここに描かれているのは、形ばかりのBLなどではない。
ドイツ、寄宿舎、天使のように美しい少年達、どれをとっても日本の少女たちの日常とはかけ離れた、ファンタジー的異世界において、香りのようにたちのぼり、蒸留され純化される「愛」そのもののかたちである。
男としては初めての世界で驚いたけれど、楽しく読み進めることが出来た。
詩的な表現が多くて、漫画だけど文学的な要素も含んでいる。
「トーマの心臓」という不思議な題名は、読み終わってみると素晴らしい題名だと気づかされる。
どのキャラクターにも感情移入できて(悪い奴は別)、人間関係の設定が良く出来ていると思いました。
萩尾望都に影響を受けたのが漫画家だけじゃなくて、小説家にも多いことも頷けます。
個人的にはオスカーのカッコよさに惚れた。
森博嗣の小説版もあるので是非読んでみたい。