
高校時代、アマチュア無線が唯一の楽しみだった冴えないサラリーマンの大河内寿三郎(おおこうちじゅさぶろう)は、顔も名前も知らないかつての交信仲間の女性を忘れられずにいる。
そんなある日、社内の間違い電話から、彼女によく似た声を聞き…。
ちょっとワケありな男女の恋を描いた恋愛傑作集。
西炯子
高校時代、アマチュア無線が唯一の楽しみだった冴えないサラリーマンの大河内寿三郎(おおこうちじゅさぶろう)は、顔も名前も知らないかつての交信仲間の女性を忘れられずにいる。
そんなある日、社内の間違い電話から、彼女によく似た声を聞き…。
ちょっとワケありな男女の恋を描いた恋愛傑作集。
コメント
どこか「世間の普通」になじめない男女が救われる流れは『娚の一生』通じるものがあるかも。
表題作がとても好き。
美少女設定の女子がホントにキラキラふわふわでかわいくて
残念な割に色気のあるイケメン男子は、給湯室の背中がヤバイ。
この方の書かれるお話はゆったりしたテンポでの
しっとりとか暗めの内容が多いので、主人公達は多少おバカな方が
読んでる方は救われていいと思うのです。
たまにズドーンとくる短編もあるので、それはちょっと苦手。
あとこの本は表紙がすっげー素敵です。
質の高い短編集です。
西さんの描く男の人って、ヘタレなのに凄く色っぽいです。
出てくる人物が全員そんな感じだから、物語が進むなかで二人がどうして歪んでしまったのかお互い理解し、和解しあう中で結果、恋愛関係に至ってしまう事に読み手側が説得力を感じるのだと思うのです。
今回の短編は波のむこうに、電波の男よ、海の満ちる音の三つで構成されてました。
せっかくなので、「電波の男よ」に関して感想を書こうと思います。
変態というのは、自分から「私が変態です」とは名乗りません。
名乗らないどころか、自覚さえもしていません。
主人公の大河内は、そういう感じの人間です。
自分が信じた絶対のものを信じぬき、それ以外は正しくないものであると判断し、我が道をグングン突き進むタイプです。
自分が正しくない、要らないと思った者・事には心を晴れ晴れとさせたまま「こいつら、死ね」とナチュラルに思える男です。
そういう人はきっと変態だと思うのです。
狂信的なまでに一つのものに執着し続けられる事、それに迷いもない事。
この二つの理由から私は強烈に変態だと思いました。
で、これは感想なので良いと思うんですけど、私は変態が大好きです。
というのも、変態の方が純粋な愛を持ってるからじゃないかなと思うからです。
迷いもなくひたすらに愛し続ける事は宗教に似た恐ろしさを感じますが、それこそが大体の乙女の求める愛情なのだと思うのです。
そんな変態の恋愛模様を一番うまく、かわいらしく描いている作品が「電波の男よ」という作品だと思います。
どこまでも純粋に求めるからこそ、ちょっと歪んでしまって、それが何となく人間らしくて可愛らしい作品だと思います。
他の二編も良かったです。