トーマの心臓

冬の終わりのその朝、1人の少年が死んだ。
トーマ・ヴェルナー。
そして、ユーリに残された1通の手紙。
「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」。
信仰の暗い淵でもがくユーリ、父とユーリへの想いを秘めるオスカー、トーマに生き写しの転入生エーリク……。
透明な季節を過ごすギムナジウムの少年たちに投げかけられた愛と試練と恩籠。
今もなお光彩を放ち続ける萩尾望都初期の大傑作。

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コメント

  1. user より:

    要はBLの元祖だと思うのだけど、いやらしさゼロ。
    男の子同士が普通にちゅーしてたりもするけれど、当たり前のように受け入れられます。
    「性」を感じないと言うか。
    宗教絡みもあるからか、きれいなものを読んでる感じ。

    ユーリの過去とか、謎?は後半に後半にひっぱってあったから急いで読んでしまったけれど、
    漫画と言うより小説を読んでいるかのようでした。

    落ち着いたらもう1回読み返したいな。

  2. user より:

    これがぼくの愛 これがぼくの心臓の音 君にはわかっているはず

    もう、こんなに力のある言葉は今の少女漫画では見れないと思う。

    ドイツ、ギムナジウム、当然出てくるのは男の子ばっかり。

    自分とは一切接点がない。
    でも、目の前で彼らの息遣いが聞こえてきそうなぐらい、彼らの生はリアル。
    傷つけあって、支えあって、それぞれの『愛』にむきあっていく彼らをBLとか、そういう言葉で片付けたくない。

    最後まで読むと、この「トーマの心臓」というタイトルが別の意味をもつことになる。

    岡崎京子がリバーズエッジでいっていた「僕たちの短い永遠」を、もっと、ずっと前に、しかもこんなに美しく描いてたなんてモー様さすが。

    BLに抵抗がある人も、ぜひ読んでほしい。

    あと、オスカー萌え。

  3. user より:

    暑い夏に外から帰ってきてソーダ水を飲んだような感じ。

    少年愛がこころに痛いです。

    「ギムナジウム」という場所のパワーと隔世感がすごいです。

    たぶん「ギムナジウム」でなら、こんな美しい事件も起こるんじゃあないかと思わせる。

  4. user より:

    傑作だ。

    僕には難しい。

    難しいけれど読む度に彼らの心情を少しずつ理解出来ているような気がする。

    今回で3度目。

    やはり、以前より理解は深まったと思う。

    いかにオスカーがユーリを愛していたか。

    いかにエーリクがユーリを愛していたか。

    いかにトーマがユーリを愛していたか。

    いかにユーリがトーマを愛していたか。

    いかにユーリがエーリクを愛していたか。

    ユーリは皆を愛していた。

    翼をもぎ取られたというユーリ。

    しかし、ユーリに翼がなくともユーリを愛する人たちの力でユーリは飛べたのだ。

    ユーリは翼が無い天使なのだ。

    潔癖な年頃の少年の心情は柔らかく脆い。

    素直さ故に乱暴で
    素直さ故に暖かい
    傷つくのを恐れ
    傷をいつまでも忘れない
    けれど成長するのが少年だ

    美しく脆く儚く
    しかしたくさんの可能性を秘めた年頃を
    望都さんは描く。

    痛いほどの純粋さに僕はハッとする。

    僕にもその純粋さの欠片がまだ突き刺さっているのだろう。

    胸に深く刺さって永遠に痛みを伴う。

    そうでなくては大人に慣れない理由が無いのだ。

    大人になれず子どものまま死んでしまう子もいるとはポーの一族の言葉だけど
    僕は子どものまま死ぬことも成長することも叶わない、取り残された歯車なのだと思う。

    使われることがなく引き出しに忘れさられた歯車。

    心を震わせてくれるものがなくては生きてはいけまい。

    そう、望都さんが描く世界のような美しいものが

  5. user より:

    『ぼくは ほぼ半年のあいだずっと考え続けていた
    ぼくの生と死と それからひとりの友人について・・・
    ・・・ぼくが彼を愛したことが問題なのじゃない
    彼がぼくを愛さねばならないのだ
    どうしても』

    非常に繊細。
    文学の質を備えている漫画。

    舞台はドイツのギムナジウム、主人公は自責の念から「自分には人を愛する資格がない」と心を閉ざす少年ユーリ。

    冒頭いきなり少年(トーマ)が自殺し、彼と生き写しの転校生の目を通じて、トーマがどんな人間だったかが明かされていく。
    次第に物語の焦点はユーリの苦悩へと移り、彼の再生までを丁寧に追う。

    一瞬同性愛ものかと思ったが(男子校で生徒同士がキスしたりしちゃうもんだから)、そういう体裁をとったのは、性愛を排し、不信と孤独、愛と許しという主題に集中するためとみた。
    彼らが口にする「好き」は、「きみの信頼を得たい」に近い。

    『ぼくは成熟しただけの子どもだ ということはじゅうぶんわかっているし
    だから この少年の時としての愛が
    性もなく正体もわからないなにか透明なものへ向かって
    投げ出されるのだということも知っている』

    トーマの手紙はどこまでも名文。

    ユーリはもらった翼でボンに飛び、神学校へ。

    なんだかもったいない気もするが、彼の苦悩が信仰と不可分だったことを思えば自然か。
    トーマの献身、エーリクの純粋さ、オスカーの優しさを、その人の愛ととるか、神の愛の現れととるのか。
    ユーリはそこに「神の愛」を見た。
    信仰のない私は前者かな。
    でも、多分どちらでも同じなのだ。
    それが彼を生かした、という意味において。

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