
太陽系第4惑星・火星。
赤い風の吹く星。
23世紀末の地球に天を見つめる1人の少女がいた。
レッド・星(せい)。
火星に生まれ、火星を恋する第5世代の火星人。
しかし、夢にまで見た故郷に帰った時、火星の大いなる災いが始まった。
火星と火星人の呪われた運命を救うため、銀河系の中心で少女が見たものは……。
萩尾望都が描く壮大なSF叙事詩。
萩尾望都
太陽系第4惑星・火星。
赤い風の吹く星。
23世紀末の地球に天を見つめる1人の少女がいた。
レッド・星(せい)。
火星に生まれ、火星を恋する第5世代の火星人。
しかし、夢にまで見た故郷に帰った時、火星の大いなる災いが始まった。
火星と火星人の呪われた運命を救うため、銀河系の中心で少女が見たものは……。
萩尾望都が描く壮大なSF叙事詩。
コメント
母が自宅に所蔵していた。
生涯初めて読んだ本である手塚治虫『アトムキャット』(秋田書店?)に、主人公の飼い猫が大昔主人に殉死させられた猫の怨霊を打ち倒す話があったが、この物語にもそれと同様に「人間のエゴ」が絡んでいる。
地球人たちのエゴに対してエゴで応じる火星人たち。
双方を血で血を洗う争いから解き放とうとする主人公だったが…。
もし時雨沢恵一がこの物語を描いたなら、地球人も火星人も「同じ穴のむじな」つまり自分たちの都合しか頭になく、かつそれに自覚のない集団とするだろう。
そしてもし、かの男装の旅人が登場するなら、主人公の少女を「無力な中立」つまり双方にとってのいい面の皮として見るだろう。
結局、この作品も、時雨沢氏の作品同様「無自覚のエゴ」を描いているように思える。
作者の意図は知らないが。
主人公セイのキャラクターが素晴らしい。
恐怖、迫害、救済、敬愛、別離、進化、
SF的切なさが詰まった作品。
赤い瞳に白い髪をもつ火星人たちは、超能力をつかうことができ、その力を怖れる地球人たちに迫害されていました。
正体をかくして生活していた星でしたが、エルグという青年に赤い瞳を見られてしまいます。
しかし、彼女が火星人であることを見抜いたエルグは、星に協力して火星に潜入しますが、彼女に不審をおぼえた情報局のペーブマンがそのあとを追います。
やがて星は、火星に暮らしている火星人たちに出会いますが、彼らが未来を占ったところ、星は災いをもたらすというお告げが示され、星は彼らのもとからも逃げ出すことになります。
地球人たちに迫害された火星人たちの歴史に心を寄せる星が、彼女たちの能力は人類の退化の証であると主張して彼女を捕らえようとするペーブマンから逃げつつ、地球人と火星人の悲劇的な運命によって翻弄されるストーリーは、読者を引き込む魅力をもっています。
ただ、エルグの正体が判明したあたりで、星を取り巻く基本的なテーマはすでに出そろっている感もあり、それ以降のストーリーがやや著者のコントロールのもとを離れてしまったような印象を受けてしまいました。
全てがギュッと凝縮して存在する、まさに1冊のコスモゾーン。
火星に帰る日を心待ちにする火星人と、
故郷を失ったエイリアンの 凛とした果てしない恋物語。
そのへんの小説よりずっとずっと深くて面白い。
何度も読み返している話。